重症糖尿病の治療
具体的にはHbA1c>8%である場合のアプローチを考える。この場合重症度には相当な幅があるため、まずはインシュリンの適応に入るのかどうかを検討する。インシュリンの適応がなければ経口血糖低下薬の出番である。HbA1c>8%となるくらいの高血糖の場合は追加分泌障害も存在する可能性があるが基本的には基礎分泌が足りていないためSU薬は良い適応となる。SU薬を少量から開始し、血糖値の減少を見ながら徐々に増量していく。アマリールRであったら1〜2mg/day,オイグルカンRであったら1.25〜2.5mg/dayあたりから開始することが多い。効果不良例では最も薬効の強いSU剤であるオイグルカンR5.0mg(分1、分2問わない)あたりまで増加させるが、ここまでやって効果不良の場合SU剤の増量よりも多剤併用療法に切り替えた方がうまくいくことが多い。SU剤にて全く効果がない場合を一時無効といい、インシュリンの適応となる。はじめは効果があったのに徐々に効果がなくなっていくことを二次無効という。原因としては食生活の乱れ、肥満の悪化、膵臓β細胞の疲弊(持続的な高血糖にさらされると膵臓β細胞の破壊が進行することが知られている)が考えられる。基本的には効果判定は食事、運動を踏まえた生活歴と体重、血糖値の2〜3か月の推移にて判断する。2次無効と判断した場合はまずは2剤併用療法を行う。問題点として肥満によるインシュリン抵抗性の増大を考えるのならビグアナイド薬メルビンRやチアゾリジン薬アクトスR、インシュリン初期分泌の障害が気になるのならαGI薬であるグルコバイRといった具合に軽症糖尿病時と同様の考え方で2剤目を選ぶ。この状態で3ヶ月ほどで効果判定を行い、さらに効果不良であれば3剤併用療法となる。これでも効果不十分ならばいよいよインシュリン導入ということとなる。インシュリンの導入では皮下注射を自分で行えなければならない、血糖自己測定(SMBG)ができなければならない。シックディの対応、低血糖の対応といった問題が生じてくるので、この段階になる前に説明しておくことが望ましい。重要なことはインシュリン治療を開始することで膵臓のインシュリン分泌能が回復してきて、経口血糖降下薬すら不要になることがあること(一生インシュリンを打ち続けなければならないということではない)、食事運動療法が上手くいっていなければ教育入院を機会に改善できる可能性があるということである。コントロール不良も食事、運動療法をせず高血糖持続で体重減少となるとかなりひどい状態が考えられる(こういった状態で食事、運動をしっかりやりましたと平気でいう患者もいる、定期的にフォローしている患者ならばおかしいことに気がつけるが、初診でたまたま来た患者がこのような状態であると判断できない)が、体重が増えて血糖値が高値というのはインシュリン自体は分泌されているのでインシュリン導入にて改善の見込みはある場合がある。設備のある病院ならばインシュリン分泌能、インシュリン抵抗性を客観的に測定するべきである。
wikiぺディアより引用
重症糖尿病の治療〜インシュリン導入
インシュリン療法の絶対的適応例では入院による導入が望ましいといわれているが、相対的適応例におけるインシュリン療法の開始や経口血糖降下薬からの切り替えの場合は外来で行うことが多い。この際、インシュリン量の調節のため外来を頻回にすることで対処することが多い。外来での導入に関しての危険性を評価するには
ケトーシスがないこと。
感染症や悪性腫瘍といった高血糖の原因となる他の疾患が存在しないこと
網膜症(特に福田分類でBとなるもの)、腎機能低下といった進行した糖尿病慢性合併症が存在しないこと。
食事療法、インシュリン注射、血糖自己測定といった自己管理能力があること
を確認することが望ましい。これらに該当するようならば糖尿病専門医がいる施設や教育入院を用いないと外来でのコントロールは危険である。