糖尿病の検査,症状、原因

糖尿病の検査

日本では、日本糖尿病学会1999年の診断基準を用いる。これはアメリカ糖尿病学会1997年診断基準に基づいたものである。ただし、アメリカでは検査の簡便さも考慮し、空腹時血糖のみを重視するのに対して、日本とヨーロッパでは食後血糖を診断基準に含んでいるところに違いがある。

 

空腹時の血糖または75g経口ブドウ糖負荷試験で診断する。空腹時に126mg/dl以上の血糖があればブドウ糖負荷をしなくても糖尿病型と判定される。

 

通常は判定を2回繰り返し、2回とも糖尿病型であれば糖尿病と診断。口渇や多飲、多尿などの典型症状や糖尿病性網膜症が存在する場合や、HbA1cが6.5%以上である場合は1回だけの判定で糖尿病と診断する。空腹時血糖110-126mg/dlをImpaired Fasting Glucose, IFGと呼び、75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が140-200mg/dlであるものを耐糖能異常; Impaired Glucose Tolerance, IGTと呼ぶ。

 

IGTはいわば「糖尿病予備軍」と言える病態であり、臨床上の糖尿病との違いは後述する合併症があるかないかという点であった。しかし現在、IGT患者にも神経障害、心筋梗塞、動脈硬化をはじめとした合併症が出現することが知られており糖尿病とはっきり区別する意味は希薄になってきている。内部リンク境界型糖尿病を参照のこと。(DECODA study[1]、舟形町研究)

 

糖尿病と診断したら、次に必要なのはどういった糖尿病であるのかを把握し、それにも基づいた治療を考えることである。これらを行うためには。糖尿病が発症した原因と引き金、高血糖の程度と持続時間、合併症の程度を把握することが重要であるとされている。

 

wikiぺディアより引用

糖尿病が発症した原因と引き金

まずは1型糖尿病であるのか、2型糖尿病であるのか、二次性糖尿病であるのかといった成因から診断していく。ほとんどの場合は2型糖尿病であるがこれはあくまで除外診断によって行うべきである。手順としてはまずは1型糖尿病から疑っていく。基本的に1型糖尿病と2型糖尿病はまったく異なる臨床像を示すため区別は容易であるように思える。しかし、SPIDDM(slow progressive IDDM)という一見2型糖尿病を思わせる病型が存在するため、必ず一度は抗GAD抗体を測定し、否定しておくべきである。これを怠ると治療方針を誤ってしまう。また、糖尿病を誘発する疾患の有無を検索する。この過程は気にしだすときりがない。肝性糖尿病(糖新生をおこなうのが肝臓であるため、肝臓疾患の患者は糖尿病となりやすい)、膵性糖尿病(インスリンを分泌するのが膵臓のβ細胞であるため膵臓疾患の患者は糖尿病になりやすい)、また感染症、悪性腫瘍は比較的検査しやすい。診療所などで設備が乏しい場合は糖尿病と診断した時点で人間ドックやがん検診の受診を勧めるべきである。また精査まではしないにしろ内分泌疾患は念頭に置いた診察を心がける。バセドウ病、先端巨大症、クッシング症候群などが二次性糖尿病の原因としてよく知られている。甲状腺の触診や顔貌をみたりといった基本的な身体診察で疑えることも多い。重要なことは二次性糖尿病は原疾患の治療によって完治可能ということである。1型糖尿病、二次性糖尿病が否定できたら生活習慣病である2型糖尿病と考える。 2型糖尿病でも発症の背景を問診することで具体的に生活習慣のどこがいけなかったのが明らかになることが多い。生活習慣の乱れとしては食生活なのか運動習慣なのかアルコールなのか、糖尿病の家族歴があれば体質によるものなのか、ペットボトル症候群などにおちいっていないのかということを確認すると生活習慣の改善を行いやすくなる。

 

wikiぺディアより引用

高血糖の程度と持続時間

これらは自覚症状と病歴を作成することで把握することができる。自覚症状としては口渇、多飲、多尿(特に夜間尿の回数)を確認する。次に体重の経過をきく。最大体重、20歳のころの体重、現在の体重を中心に推移を見ていく。治療を行っていないにも関わらず体重が減少したら糖尿病の進行であることが多い。こういった兆候があったばあいは高血糖の持続時間は非常に長く小血管障害といった合併症の存在が疑われる。経験的に網膜症がなければ腎症はないことが多いため、明らかな腎障害を認めなければ眼底検査を優先するという方法もある。健康診断で糖尿病を疑われた、尿糖が指摘されたといった病歴作成は今後の治療の役にたつことが多い。

 

wikiぺディアより引用

合併症の程度

これはしっかりやろうとすると、糖尿病の合併症をすべて確認する必要がある、外来などでは一度にすべてを確認してもらうことは現行の医療体制では難しい。

 

大血管障害

大血管障害、具体的には心筋梗塞や脳血管障害は境界型糖尿病の時点から出現することが知られている。基本的には動脈硬化の程度の確認をする。頸動脈、腹部血管、大腿動脈の雑音の聴取、膝窩動脈、足背動脈、後脛骨動脈の触知は動脈硬化の指標となる。また境界型糖尿病、糖尿病の患者は無痛性心筋虚血をおこすため、エピソードがなくとも心電図を施行するべきである。小血管障害の出現などは血糖値の推移と並行することが多いので予測しやすいが、大血管障害は耐糖能障害がある時点でいつおこってもおかしくないため定期的に動脈硬化の程度を把握しなければならない。近年よくおこなわれるのが頚動脈エコー検査である。これはIMT(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)を測定する検査である。頸動脈の最大肥厚部とその左右1cmの3点を測定し平均値を指標とする検査である。頸動脈分枝部に病変があることが多い。IMTが1.1cmを超えるときは動脈硬化の兆候があり脳神経外科とのコンサルトが必要となることもある。IMTは大血管障害の発生とよく相関し、治療効果が目に見えるので扱いやすい指標である。動脈硬化のリスクファクターを除去することは言うまでもない。

小血管障害

神経障害の評価としては下肢の振動覚、深部腱反射(DTR)である膝蓋腱反射(PTR)やアキレス腱反射(ATR)が指標となる。足の視診をその際に行う。基本的にニューロパチーがあると思えばよい。気がつきやすい症状としては足のしびれ感である。腎症の評価は尿検査で行う。尿蛋白が陽性ならば腎症があるのはほぼ確定だが、陰性であっても腎症は否定できない。微量アルブミンを測定し、30〜300mg/gCr以上なら早期腎症となる。早期腎症の時点で血圧コントロール、具体的には腎保護作用があるACE阻害薬を投与することで進行を防止することができる。治療効果判定は血圧の効果と蛋白尿の減少である。網膜症に関しては眼科にて眼底検査を行う。気がつきやすい症状としては目のかすみである。異常が見られなくとも年に一回は眼底検査を行うべきである。網膜症の出現は腎症が今後進行することを強く示唆する。また眼底検査は糖尿病治療前に行うべきである。網膜症は進行すると血糖値を急速に改善すると網膜症が進行するということが知られている。もし進行した網膜症があった場合はHbA1cを3%下げるのに6か月位かければ、比較的安全に治療することができるといわれている。

血糖値関連の検査

血糖値

血糖値は、食事を食べたり運動をしたりすることで容易に変動する。朝起きてから食事を取らずに測定した空腹時血糖と、どんなとき測ってもよい随時血糖が評価の対象である。 常用負荷血糖(普段の食事をして測定した血糖)では、食事開始(はしをつけて)から1時間後のpostprandial glycemia 1hr(PPG1hr)がピークとなることが多いとされ、有望視されている

HbA1c

過去1-2ヶ月の血糖値の平均値を表すとされる。HbA1c 6.5%未満をコントロール良好とする。[3]食生活による変動が激しいことも知られおり、最近過食気味といったエピソードがあるだけで糖尿病かの診断では偽陽性となっていまうことがある。肝硬変、溶血の患者では低めに出ることが知られており、その場合はグルコアルブミンを代用することがある。HbA1cは5.8%以下で正常、6.5%以上で糖尿病と言われているが、OGTTに基づく診断では正常型、境界型、糖尿病型の各型とも広範囲に分布するためoverlapすることが多く、境界型糖尿病の診断や糖尿病の否定などには用いることができないといわれている。5.8%より大きい値が出たら境界型糖尿病なども疑い精査する必要がある。

平均血糖との換算には

 

AGmg/dl = 28.7 x HbA1C ? 46.7 (R2 = 0.84, P < 0.0001)

が適当との報告がある。

 

グリコアルブミン

最近2週間程度の血糖値の平均値を表すとされる。HbA1cよりも最近の血糖値の推移がわかるという利点があるが、HbA1cとはことなり臨床研究で有効性が確認されてはいない。また、ネフローゼ症候群では低値となる傾向がある。

 

wikiぺディアより引用

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